文明が進んで、世の中が明るくなるにつれ、女性を包んでいた神秘というベールも一枚ずつはがされて、しかたなく女性達は、真昼間の明るさに耐えうる美しさを手に入れるためたゆまぬ努力を重ねて現代にいたっています。
 と言うことは、どんな時代よりも今の女性達の方が明るい日差しの中では美しいはずです。・・・・・・たぶん?

雨 杉本カレンダー浮世絵2002年版原画




晴れ間 杉本カレンダー浮世絵2001年版原画

 さて「傘の内」。これは今でも「言えてるー!」でしょう。梅雨時の不快な湿度が一方で植物だけでなく生物全てに潤いを与えるせいなのか、それとも雨の日は背景色がグレー系で統一されて色彩バランスがよくなるせいなのか、この時期の女性とあじさいは、雨の中で、確かに美しさを増すように感じます。その上とゆうか、傘の下(内)では、傘の色が顔に映えてより輝くのでしょう。今でもよくある番傘の赤系の色が江戸時代でも多かったのであれば、なおさら湿度でうるおって肌つやのよくなった顔に朱がさして大方の女性が何割増しか、美人に見えたことでしょう。

 「夜目、遠目、傘の内」とは、江戸の頃でしょうか、女性が美しく見える条件を言った言葉のようです。女性にとっては随分失礼な言葉ですが、「確かに言えてる!」って納得させられてしまう説得力もあるように思います。
 特に夜でもこうこうと明るい現代と違って、夜は真っ暗になってしまう江戸時代では、薄暗い行灯の灯りに救われた女性も多かったことでしょう。特に吉原に代表される遊郭の女性達の白塗りの顔は、ゆらめくか細い灯りのもとでこそ美しく妖しくかがやいて、多くの男性たちをとりこにしたはずです。

よめ とおめ かさのうち

夜目 遠目 傘の内

雨の日 杉本カレンダー浮世絵1999年版原画

 京都の舞子さんの白塗りの化粧も、「お約束・・」と思ってはみても、やはり異様な感じをうけるものですが、あれを大正以前の京都の夜におくと、とたんに娼婦見習の少女(14・5歳まで?)としてのエロチシズムがろうそくの炎の前にゆらめきたって、当時のロリコンの旦那衆をとろかしたであろうと想像できます。
 「遠目」は、現代でも条件はあまりかわっていないように思えますが、めがねやコンタクトレンズで視力矯正している人の多い分、これも現代女性の方が不利と言えます。

特集/2003年6月

雨上がり 杉本カレンダー浮世絵2000年版原画