華シリーズ 7月
こまつよい草

 夏の夕暮れ時、(大阪では5月くらいから)
たとえば、買い物や行楽の帰りに疲れた体を引きずって家路についている時、たとえば日曜日の「さざえさん」時、憂鬱な気分を変えようとちょっとした買い物に出た時・・・昼間は何もなかったはずの空き地一面に、ぽつぽつとまるで灯をともしたように「こまつよい草」の花がさいているのに出会うと、ふーっと心がさらわれて何だか急に体も軽くなります。翌朝同じ場所を通っても、花は朱色に小さくしぼんでいて昨夕のおもかげはなくなっています。 俗称「月見草」のイメージにぴったりの淡い黄色の蛍光色がただの野っ原を幻想的と言ってもよい空間に変えてしまう場面に出会えるのは、せいぜい一夏に2〜3回です。ちょうど花開く時間帯にあまり出歩く習慣がないのと、7月頃になると空き地の草刈がおこなわれてきれいさっぱり夏の雑草がなくなってしまうせいだと思います。
 ちなみに正式名称「月見草」をもつ花は他にあるようで、白花とのことです。よく小説に登場する「月見草」も竹久夢二の詩や歌で有名な「宵待草」もこの花の仲間の「まつよい草」や「おおまつよい草」のことをさすようですが、残念ながら花の咲いている姿をテレビ以外で見たことはありません。この2種とちがって一番新しい外来種である「こまつよい草」は繁殖力がとても強いようで、ちょっとした空き地があるとすぐにはびこっていて、それはそれで問題があるのかもしれませんが、個人的にはうれしくて夏の夕方には、きょろきょろと花を探してしまうのです。

こまつよい草

今月の特集/2003年7月