お昼を過ぎた頃だというのに森の中は暗く、ひんやりとしていました。大とかげを見失うまいと駆けていく妹を追いながら、アネモネは採集用のはさみで手近にある大きく伸びたシダの茎を切っては目印にしました。

獲物はとっくに見失ったものの黒い土の上に落ちたうろこの輝きや銭苔を染めた赤い血をたどって二人が森の奥へ奥へと進んで行くと、あたりが急に明るくなってそこだけ高い木が途絶え、生い茂った夏草の中ににアザミやヒメジオンの咲くぽっかりと開けた土地に出ました。真ん中に屋根まで野茨の蔓に覆われたレンガ造りの小さな館があります。

荒れ果てた無人の建物はこの島のいたるところにありましたが、二人はなにか違うもの・・・暖かい気配とでもいうのか・・を感じて好奇心を抑えきれずそっとセピア色の枠に縁取られた窓に近づいて中を覗きました。

 

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