今月の特集/2004 10月〜11月

すすきが原

 奈良県と三重県との県境のあたり、曾爾(そに)高原へ行ってきました。真っ青な空をバックに視界に邪魔なものの何もない一面のすすきが原。すすきの足元には秋アザミや野菊。すすきをかきわけかきわけ歩き回るのは子供の頃に返ったような楽しさです。
 実際にはハイキング客でいっぱいの高原ですが、人の群れから少し離れて背丈より高いすすきの中に入ってしまうと、行けども行けどもすすきばかりの白い世界。人を喰う鬼婆と美しい娘の住む家があるという安達が原もこんな所でしょうか。
  遠い昔の孤独な旅人達が、街道からはずれて迷い込んだ深い山中や、行けども尽きぬ草原でふと恐怖に囚われて、人里離れた一軒家に出会い、山姥や妖艶な寡婦や年若い娘の姿をした、この世の者でないものに魅入られた・・・その不安が少し分るような体験でした。


秋草